2024年8月の夏。
それはそれは厳しい暑さの中で、ある現場が静かに動き始めました。
この現場の話が持ち上がったのは、今年に入ってから二か月ほど経った頃のことです。
当時の僕は、請け負っている仕事もなく、知り合った大工さんの現場に手伝いとして入らせてもらったり、合間に家具作りをして過ごしていました。
そんな折、弟から一本の相談がありました。
「東京から和歌山へ移住したいと言っている人がいて、古民家を改修してカフェをやりたいらしいんやけど、どうやろう」
正直なところ、その時は半信半疑で話を聞いていました。
しかし、詳しく話を聞いていくうちに、お客さんの想いは思っていた以上に具体的で、覚悟も感じられるものでした。
それに呼応するように、弟も次第に本気になっていき、現場に対する熱量がぐっと高まっていくのを感じました。
僕が初めてその現場を目にしたのは、弟が現調に行った際に送ってきた写真でした。
しかも写っていたのは、すでに解体が始まったあとの姿。

気づけば現場は、僕の知らないところでしっかりスタートしていたのです。
壁は剥がされ、床は捲られ、いわゆる見事なまでのスケルトン状態。
「元の姿を一度見てみたかったなぁ」という気持ちが、ほんの少しだけ頭をよぎりました。
……が、
こうして骨組みだけになった建物を眺めていると、不思議なもので、気持ちはすぐに切り替わります。
正直、ワクワクのほうが勝っていました。
「この建物と、これからどう向き合っていくことになるんだろう」
そんなことを考えながら、写真を眺めていました。
この建物は、ここからどんな表情を取り戻していくのか。
こうして、長く、そしてなかなか骨の折れる古民家改修プロジェクトが、静かに幕を開けました。


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